HSPとは「ハイリー・センシティブ・パーソン」の略で、感覚が敏感で、音や光や匂いなどの刺激を強く受け取り、不快感や疲労感を感じやすい人のことです。
また、HSPの方は、周りの環境や雰囲気に影響を受けやすく、疲れたり、落ち込みやすかったり、ストレスを感じやすかったりします。
実はこの症状は、マインドフルネス瞑想に取り組むと、多くの方が改善します。
瞑想を長年教えていると
「HSPがよくなりました!」
とおっしゃる生徒さんが、何人も出てくるのです。
ほとんど症状が気にならなくなってしまう方もいます。
なぜでしょうか?
ここで、その理由を分析してみます。
※ 正式に医学的な検証をしたわけではありません。あくまでも、多くの方にマインドフルネスを教えてきた経験から、お話しさせていただきます。
マインドフルネス瞑想は、感覚に意識を向ける瞑想法です。
呼吸や体の感覚や五感などに意識を向け、しっかりと感じるトレーニングをします。
なので、感覚の感度はかえって上がります。
それだと一見、HSPの症状が悪化しそうですよね?
しかし、実際には改善されます。なぜでしょうか?
人が感覚を感じる時、まずは音や光などの刺激を五感で受け取ります。
そして、その刺激に対して反応が起きます。
例えば、まず大きな音がなって、それを聴覚で受け取ります。
つぎに、その音に対して「うるさい!」といった不快反応が起きます。
感覚受信 ⇒ 反応
となるわけです。
マインドフルネス瞑想をやっても、最初の感覚受信は弱まりません。
不快反応の方が、弱まるのです。なぜ弱まるのでしょうか?
マインドフルネスでは、受け取った五感の感覚や体の感覚、心に浮かぶ思考や感情などを、「評価判断せずに、ただ気づく」 というトレーニングをします。
音が聞こえたら、
あ、音が聞こえたな
思考が出てきたら
あ、思考が出たな
足に痛みの感覚があったら
あ、痛みの感覚があるな
怒りの感情が湧いてきたら
あ、怒りの感情があるな
とただ気づきます。
出てきた感覚や思考/感情に対して、良い悪いの評価はせずに、コントロールしようともせずに、ただありのまま受け取ります。
無理に消そうとしたり、逆に強めようとしたりもしません。
ただそのままにしておきます。
そのトレーニングを続けていると、だんだんと反応が弱まっていきます。
出てくる感覚や思考/感情を、ただそのまま受け取って、感じることができるようになります。
感覚はしっかりとあるのですが、不快感が弱くなっていくのです。
または、不快感を感じたとしても、それがあまり持続せず、軽く受け流せるようになります。
不快感で意識がいっぱいにはならずに、
不快感は意識の一部でしかなく、そのうち消えていくモノ
となっていきます。
そうなると、かなり楽です。
ポイントは、感覚を弱めるのではなく、反応を弱める という点です。
無感覚な人間になるのではありません。
入って来る感覚を、そのまま純粋に、素直に受けとる感じです。
受け取ってから、自分の中でアレコレいじくりまわしたり、つかんだり、拒否したり、コントロールしようとしない、ということです。
この辺りの感覚は、実際にやってみないと、なかなかわからないかもしれません。
実際に、私の瞑想レッスンでHSPが軽くなった受講者さんが、
今までは、なるべく人混みに行かずに、静かな環境に身をおくようにしていたけど、それだと行きたい所にいけないし、いつも静かな環境にいられる訳ではないので、困っていた
とおっしゃっていました。
確かにそうですよね。
症状を改善するために、「感覚受信」の方を減らすのにも、限界があります。
もちろん、「感覚受信」を減らすのも大事なのですが、それだけだとなかなか不便です。
「反応」の方を弱めることができるようになると、行動が制限されにくく、楽です。
HSPの方には、かなり有効ではないかと思います。
ただし、やり方によってはかえって辛くなる場合もありえますので、注意が必要です。
例えば、すでに起きてしまった反応を無理やり抑え込もうとしたり、無視しようとしたりすると、かえって悪化することもあります。
正しいやり方を身に着けて、様子を見ながら無理せずトレーニングをしていきましょう。